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2013-01-29

長居障害者スポーツセンターの見学

 先日、福医建の例会にて大阪市の長居障害者スポーツセンターの見学に行って来ました。

この施設は、1974年に日本で初めての障がいのある人向けのスポーツ施設だったそうです。
現在は大阪市では舞洲に新しい障害者スポーツセンターができているものの、年間36万人の利用者がいるということで、見学当日も賑わっていました。
障がい者スポーツのきっかけは傷痍軍人のリハビリとして始まったそうですが、日本での発展の契機の1つになったのは1964年の東京オリンピックのあとに開かれたパラリンピックだったそうです。
この時に競技にやって来た外国選手たちの姿が当時の日本の「障害者」像と違っていたことが象徴的だったそうです。外国選手は普段は仕事をしている中、競技にやって来ており、また競技を終えて街に飲みに行くという普通の姿が当時の日本では考えられなかったそうです。
この1964年東京パラリンピックから10年後、長居障害者スポーツセンターができたそうです。
この施設内を見学して思ったことは、それほど現在の公共施設と比べて特別はところはない、という印象でした。
もちろんエントランスにゆったりした勾配の大きなスロープが象徴的にあったり、車椅子がエレベーター内で回転して移動しやすいように円形のエレベーターになっていたり、プールにスロープがついていたりと、当時の工夫も感じられました。
一つなるほど、と感じたのは、平面計画が極めてシンプルで、エントランスの通路の奥の右が体育館で左がプールといったように配置されていて、視覚障がい者などにとっても理解しやすいそうです。ここの施設の方も言っておられましたが、点字ブロックは視覚障がい者以外の方にとってはつまづきの原因になったり、車椅子での通行には不便だそうです。
当時は画期的で利用しやすい場所であったのだろうと思う一方、現在はバリアフリー法が整備されてきて、障がいのある方も色々な所に行きやすくなってきているので、障がい者専用の意味があるのか、という疑問が湧いてきます。
利用者の意見としては利用者や保護者が安心して使用できるということがあるそうです。例えば、知的障がいの方が周りから奇声に感じられる声を発したりしても、ここにいる方は理解してくれるし身体障がいの人も奇異な目で見られないというようなこと。
また、適切なスポーツ指導をできるスタッフがいることや同じ障がいをもった人の間の交流や情報交換の場になっているという点が大きいそうです。
これらは物理的な問題ではなく、周囲の障がいに対する理解不足であったり、心理的なこと、ソフトな面を整えていけば解決されることだと感じます。
となると最終的に特別の大きな施設はなくてもいい状態になることが理想に思います。
写真はプールと奥のアーチェリー練習場。
場所は長居公園の隣で駅からのアクセスもよい便利な場所です。
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