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2009-04-18 | 高齢期住宅

バリアフリー2009

4/16~18までインテックス大阪で開かれていたバリアフリー2009に最終日に行ってきました。
印象としては福祉器具はそれほど目新しいものはなかったですが、講演については活かせる話がたくさんあって有意義なものになりました。

床座で使える立ち上がり手すりということですが、軽くシンプルに作られていました。

講演で配布されていた小冊子ですが、住宅改修に関するチェックポイントがよくまとめられていました。
講演については箇条書きで記録しておきます。
溝口千恵子氏 住宅改修などにおけるポイント

・いきなり手摺り設置、段差解消ではなく、日常生活や意識についてヒアリングから必要なことを顕在化すること。
・玄関の上り框のバリアフリー化をしておきたい。
・単純な動線とする。
・水周りスペースに余裕を取りたい。
・車椅子のためと言わずに通路を広くとる。車椅子になったら施設に行くと言う人が多いがそれが本心とは限らない。
・ヒートショック目安として10℃の温度差
・結局照明を消してしまうので、できるだけ自然光で明るく。自分の影を段差と見間違って事故の原因になったことがあった。
・玄関のバリアフリー化で靴をどこで脱いでどこに散らばるか。
・寝室に押し入れトイレ作るとトイレまでが近くなり評判良い。
・脱衣室と浴室の狭さのカバーを3枚引き戸でカバーする。
・浴室改修のときにTOTOの幅せま浴槽(70cm)をよく使う。
・福祉のカタログでは(簡易な)自動消火器載っているが意外に建築のカタログではなく知られていない。
・改修においても今しておかないといけないことと将来的な準備(下地)の2段階で考える方がよい。
・耐震補強と一緒にバリアフリー化効率よい。
・クロス張替え時に下地が見えるの合板下地にしておくのも効率よい。

茨城大学 齋藤芳徳氏 浴室の計画について

・普通にみえること
・施設でも集団ケアから個別ケアに。
→1人の入浴に関わる人が6人から2人(1人)に。
・脱衣室も個別化した方が裸でいる時間が減ってよい。
・広すぎる浴室は使われ方によってヒートショック可能性。
・スタッフ少人数で個別化

近畿大学 山口健太郎氏 環境移行などについて

・福祉に対する熱さが欠けてきた?妥協ではなく原点回帰で取り組む
・現在の身体機能別の施設のありかたはどうか?
・年齢により環境移行(施設入居などで周りの環境がガラッと変わること)
・施設と家のギャップを埋める必要性
・介護付きマンションなど重度になったらまた引越し?2度も必要か。
事例
・きらくえん倶楽部
・かじやの里の新兵衛さん
・サポートセンター美沢
・大畑の家
・小さな複合施設での風呂などの設備の共用は有効
・(大畑の家の)個室独立玄関は家族に好評だった。

大阪市立大学 三浦研氏 高専賃と複合的なサービスについて

・いままでのケアプランではプログラムに柔軟性がなく夜が不安ということを背景に24時間対応で柔軟な小規模多機能が登場。
・小規模事例大阪市住吉区「きずな」
在宅が難しい例
・重度。家族同居前提になる
・主に男性で生活支援(家事、食事)が必要になってくる場合
・1人が不安という場合
・家族や事業所の在宅に対する強い意志がない
など。
高専賃ポイント
・介護サービスのように利用権契約ではなく賃借契約である。
→よって原則認知症等介護度によって追い出されることはない。
高専賃とデイサービスの組み合わせの場合
・夜の不安
・LSA(コンシェルジュ)的存在は?その人数によって質変わってくる。
高専賃と小規模多機能の組み合わせの場合
・メリットとして職員の兼務(勤務外で)
・適合高専賃では他地域からの転居での小規模多機能受けられない可能性がある。住所地特例は相互の市町村の合意によりOKな場合もある。
・事業者により利用者の抱え込みで良い場合と悪い場合
適合高専賃でケアハウス的事業
・介護度低いと成り立たない
外部サービス利用型特定施設
・これからで柔軟性と継続性
・小規模多機能使えない(ケアマネ重複)

2009-03-31 | 高齢期住宅

老後の住まいは?-高専賃の見学より

3/30に堺市に新しくできたペガサスロイヤルリゾート石津という高齢者専用賃貸住宅(高専賃)の見学に行きました。
地上7階建てで、1階にデイサービスや診療所などがあり、2階以上は1戸当たり25平方メートルのワンルームマンションといった構成でした。
住戸内での高齢者への配慮というと居室にナースコールが付いていたり、トイレは引き戸となっていたりという感じでした。廊下、トイレ、浴室なども普通のワンルームサイズなので車椅子の方が居住するのは難しそうでした。
また一人での生活ができることが前提ということなので終の住処ともならなさそうでした。

モニター付きのインターホンとナースコール
気になる家賃ですが
入居金(保証金)250,000円
家賃  70,000円
管理費 45,000円
ワンルームマンションと考えると高いです。安心代がいくらか?
理想を描いたというより、建物は無駄もなく現実的な事業という印象です。
そもそも高齢者専用賃貸住宅(高専賃)とは
「高齢者の入居を拒まない『高齢者円滑入居賃貸住宅』のうち、専ら高齢者を賃借人とする賃貸住宅」ということでハード的な基準はなく、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」で定められたものです。
但し、適合高専賃といわれる要件があって
1.各戸25平方メートル以上
2.各戸が台所、便所、洗面所、浴室、収納を備えている
3.住居前払いに家賃に関する保全措置を講じている
4.食事、排泄、入浴、洗濯、掃除、健康管理などのサービスを行っている
上記を満たしていると、通常4のサービスを提供していると「有料老人ホーム」として届出義務が生じるところがそれが不要になるため、新築の高専賃はほぼこの要件を基準に設計されているようです。
建築基準法上の用途も
有料老人ホーム-児童福祉施設等
適合高専賃  -共同住宅
と違ってきます。それにより有料老人ホームの方が内装制限、階段、非常用進入口などの基準が厳しくなります。
また高専賃とよく似たもので「高優賃(高齢者向け優賃賃貸住宅)」があります。これは高専賃の中でもある一定の質を満たしたものに対して整備費用の補助などが行われているものです。
その主な認定基準としては
・5戸以上
・1戸あたり25平方メートル以上
・耐火構造または準耐火構造
・各戸台所、便所、洗面、浴室、収納
・手すりなど高齢者向きの住宅基準
・緊急対応のサービス
・10年以上管理、公正な入居者選定、計画的修繕など
・60歳以上で単身などの入居資格
となっています。
補助金により建設費の3分の2が出ますが、それだけ行政の財政により整備は進んでいないようです。
高齢者住宅財団のHPに詳しく説明されています。
財団法人高齢者住宅財団
http://www.koujuuzai.or.jp/index.html

2009-03-15 | イベント

第13回日本在宅ケア学会シンポジウム

3/14に大阪府立大学で行われた第13回日本在宅ケア学会に富山型デイサービスを始められた惣万佳代子さんが講演されるということで行ってきました。
富山型デイサービスとは高齢者も障がい者も子供も一緒にケアするというサービスで全国的に広がっています。
講演の初めに惣万さんが人間と動物の違うところとして、
・ユーモアがある
・親の介護をする
・子育て後も生きられる
と挙げておられましたたが、その通り1枚1枚のスライドにオチを交え、笑いが起こる講演でした。
すでに行政で分けられた高齢者、障がい者といったくくりから考えるのではなく、純粋に「なぜみんないっしょじゃないの」と考え、「だれもが地域で共に暮らす」という理想を進めていくところに感心しました。
また亡くなられた利用者の写真とエピソードを交えて、日々の活動のイメージがわかるように説明してくれていましたが、要所に元看護師としての知識、経験も活かしてケアされている様子が伝わってきて安心感がありました。
講演に出てこない場面で大変なこともあるんだろうとも感じつつ、現在設計から現場監理へと進んでいる小規模多機能施設「ほのぼの旭ヶ丘の家」でのイメージが膨らみ意義ある内容でした。

2009-02-11 | 建築探訪・旅

シャレール東豊中 見学会

2/8(日)にシャレール東豊中という都市機構(昔の公団)の集合住宅の見学に少し関わらせてもらったのもあって、行きました。
1階部分は棟の長手方向の地形の傾斜を活かしてメゾネット(1戸の中で2階建て)になっていたり、αルームや専用庭があったり、また最上階は廊下にトップライトがあったりと、賃貸住宅でここまでいろいろなことをしているところは珍しいと思います。
巷に広告も出回っていましたが、もう少し計画の中身をアピールしてあげて欲しい、という感想です。

スキップフロアになって上下に部屋がある

メゾネットの通路。いろいろと使い方のイメージが膨らみます

2009-02-06 | 設計監理

ほのぼの旭ヶ丘の家 地鎮祭

大阪府堺市にて、民家を改修し小規模多機能居宅介護事業所とする計画がとうとう地鎮祭に至りました。
まずは解体工事ですが、一部の棟を解体してスペースを確保してから地鎮祭を行いました。
小規模多機能居宅介護事業所とは、在宅を基本として住み慣れた地域でデイサービス、ヘルパー派遣、ショートステイといったサービスを一括して受けられるというものです。
地鎮祭の準備は祭壇から野菜や魚などのお供えまで神主さんが用意して下さり、周囲の笹竹、縄、イスなどは施工業者さんが準備してくれています。
印象的だったのは神主さんが祝詞の中で工事中の無事だけでなく、「ヘルパーなるものが・・・」と竣工後の活動について理解し祈願して下さっていたことです。
地鎮祭後のお話でも、せっかく神様に来ていただくので自分のこと、家族のこともお願いおいて下さい、と言っておられました。
このようなイベントを行うと関わる人々での意識の共有や、それにより気持ちも引き締まり良いです。

天気もよい日でした。

四隅をお祓いしていただいています。

刈初(普通はイスはありません!) 設計者が草を刈ります。

穿初(うがちぞめ) 建築主が鋤(すき)で穴を掘ります。

鍬入 施行者が鍬で神主さんが置いた鎮物を埋めます。
   鎮物(しずめもの)は基礎工事のときに基礎の下に埋めます。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串の葉先を自分の方に向けて、二礼・二拍手・一礼です。
最後にお供えのお酒で乾杯するかと思いきや、今は飲酒運転も厳しいのでということでそれはありませんでした。
こちらのブログでもプロジェクトの進行具合を見ることができます
http://blog.canpan.info/asahigaoka/

2009-01-05 | 設計監理

川西の家 竣工


08年12月に川西の住宅が竣工しましたので紹介します。
工事過程の様子も記録がありますので後に更新したいと思います。

リビング・ダイニング
床は無垢フローリングを使い、天井材の梁を一部表しとして木造の質感を出しています。右側の壁面収納は大工工事で作ってもらったものでテレビや本を収納してもらえるよう可動棚になっています。
空調効率や収納スペースをできるだけ取りたいなどの理由から吹き抜けは設けていません。

キッチン
キッチンを普段使う方にとってオープンにしたいかクローズにしたいかは様々です。今回はキッチンに居ながらにして、リビングやダイニングにいる子供の様子をうかがえたり、家族一緒にテレビを見たり、というコミュニケーションができること、しかし完全にオープンにはしたくないということでした。そのようなことからキッチンはカウンター形式ではあるが完全にオープンではなくカウンターの手元は隠せるように立ち上がりをつけた形式としています。
キッチンから洗面所の動線が近いことも喜んでいただきました。

階段
設計段階から「緩やかな階段にしたい」という要望があり、段数を多く階高を抑えて設計しています。また敷地の形状が南北に長く奥に光を取り込むことが難しいことから、階段にトップライトを設けて1階のダイニングにも自然光が入るようにしています。
この階段を実際に歩いてみると非常に楽でこれからはこの勾配を標準にしたいと思えるほどでした。
また、リビングを通って2階に行くのは、家族が家に帰ってきて直接自分の部屋に入ってしまわず、家族のパブリックな空間を介してほしいという建築主さんの考え方が反映されています。


子供室
現在はお子さんが1人ですが将来2人になったときには部屋の中心に間仕切り家具を製作し部屋を仕切ることを想定しています。日当たりのよい部屋にしてほしいという要望がありましたが、敷地南側も面する建物がいつ建て替えられておかしくない状態であったので、あえて子供室を北側に配置しハイサイドライトから光を取り込んでいます。この片流れの屋根形状が前面道路からのトンガリ屋根として見えています。

左:子供室 右:ウォークインクローゼット
収納を多く取りたいということだったので、廊下をできるだけ少なくして主寝室へはウォークインクローゼットを通って入るプランとしています。こちらはプライベートな空間でお客さんは入らないという前提です。ここにはすでに所有されているタンスなども置いてもらえるようにしています。建売やマンションでは間取りに一般性が必要ですが、このように特定の住まい手にとっての重要事項をもとにプランニングできることは0から設計する大きなメリットと言えます。

主寝室
シンプルで壁一面を収納としています。建築主さんが医療のお仕事に携わられていることから日中に静かに就寝できるよう各部屋の配置に配慮しています。

外観
ガルバリウム鋼板を使用しています。塗装色は建築主さんの希望や日照面のことを考慮しています。南側(道路からはあまり見えない)はシルバーとしています。
ガルバリウム鋼板といっても今回は塗装の種類、断熱材付のもの、スパンドレル、波板、そして各形状について様々な検討を行い、時には建築主さんと周辺の建物を一緒に見に行き決定しました。足場が取れるまでうまくいくか心配でしたが隅部の納まりなどについても検討したので素材のコスト以上にうまくいきまし、建築主さんもイメージ通りだったようです。
今回は最終的に基本計画からの予算にもうまく納まり、引渡しの日には建築主さんに大変喜んでいただけたのがなによりです。
各工事の様子についても追々更新したいと思います。

2008-10-11 | その他

建築家は住宅で何を考えているのか

建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545) (PHP新書 545) (PHP新書 545)
建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545) (PHP新書 545) (PHP新書 545)
難波 和彦,千葉 学,山代 悟
最近ふと見つけて買った本です。
本文の言葉の使い方などは一般向けとは言い難いですが、値段やサイズが建築本にしてはお手頃です。
建築の勉強をしている学生が最近の建築メディアに取り上げられた住宅を勉強する教科書という感じの本です。
中身は、
01家族像とプランニング
02ライフスタイル
03集住/かたち
04街/風景
05工業化と商品化
06リノベーションの可能性
07エコロジカルな住宅
08素材/構法
09ちいさな家
10住みつづける家
とそれらしくテーマ分けされていますが、それらはあまり気にせず、ペラペラめくって目にとまった写真の住宅の文章を読んでいくと、まさに題名通り「建築家は住宅で何を考えているのか」というのが見えてきて興味深く読めます。

2008-09-01 | 環境

自立循環型住宅への設計ガイドライン

 8/28(木)に京都リサーチパークで行われた(財)建築環境・省エネルギー機構が主催する「自立循環型住宅設計講習会」に参加してきました。

写真がこの講習会で使われたテキストです。
比較的温暖な地域での木造2階建てを対象としたガイドラインで、省エネルギーの方法を13の技術要素に分類して解説しています。
木造2階建と対象を絞って手法を解説しているところが非常に実戦的でまとまっていました。
その本の始めに、戸建て住宅におけるエネルギー消費の詳細調査事例というグラフが載っているのですが、

家の中で最もエネルギーを消費しているのは、エアコンなどの冷暖房かと思いきや、月単位でも通年でも給湯(真ん中のグレーの部分)が半分以上を占めています。
 一つ一つの省エネがもちろん大事なのですが、全体的な視点で見ることの大切さを知らされた気がします。
要素別の省エネ方法も別の機会に紹介したいと思います。

2008-08-31 | 設計監理

川西市現場着工-基礎工事

川西市のA邸の見積調整が終わり8月から着工しています。
まずは土の置換工事からです。
 余談ですが2009年10月1日より住宅瑕疵担保履行法が施行され、以降に引き渡される新築住宅には保険加入が義務付けられることになります。
 今回の物件は2008年12月引き渡し予定なので義務ではありませんが、予め瑕疵保証を付けています。「建物を保証するには地盤がしっかりしていなければ保証できない」という論法で、まずは地盤調査が必要となり、今回はその解析結果により土の置換え工事が発生しています。(詳しくは過去のエントリー

地盤のゆるい部分の土を掘削・処分し、砕石を30cm毎に転圧しながら締め固めを行います。
次に捨てコンクリート(捨てコン)の打設です。
下の写真は捨てコン打設後の写真です。

捨てコンは実際の建物の強度とは関係がありませんが、墨出し(建物の位置を決める作業)や配筋工事を精度よく行われるために行われる工程です。
配筋工事です。

鉄筋は予め曲げ加工した状態で持ち込まれます。
職人さんが2人で手際よく、丸一日もかからずに行ってくれました。
写真は瑕疵保証会社の方(奥の方)が検査をしているところです。
そして基礎コンクリートの打設です。

コンクリート打設は天気などにも左右されるので気を使います。当日は朝から曇りでした。実は曇りがコンクリート打設日和なのです。気温が高いと、コンクリート工場での練り始めから打設までの時間制限が短くなります。また天気が良いとコンクリートの表面が乾燥してしまいひび割れができてしまうこともあります。

写真は立ち上がりのコンクリートも打設後、配管を行っているところです。
コンクリート工事が終わると次は大工工事に入ることになります。

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