2012-07-08
福医建例会「関節リウマチと住居改善」
7/7(土)福祉医療建築の連携による住居改善研究会の例会でした。
「関節リウマチと住居改善」というテーマで作業療法士の山下協子先生が講演されました。
まず関節リウマチについて
・好発年齢が20,30歳代から50歳代
・女性に多い(女性ホルモンが関係していると言われ、妊娠前後に発症することが多い)
・原因は不明だが免疫異常による(アレルギーの方も多い)
・15歳以下で若年性関節リウマチは進行が速い
・悪性関節リウマチは特定疾患として難病指定されている
症状としては
・関節の滑膜細胞の増殖
・痛みや腫れ、関節液の増加
・関節の硬直
・筋や腱の短縮など
・軟骨・骨の破壊
・朝のこわばり(朝シャワーを浴びるとよいという人も)
・発熱
診断基準としては
・手の関節の腫れなど4項目以上該当すれば関節リウマチと診断
治療方法は
・薬物治療(プレドニンは副作用で糖尿病や骨粗しょう症など)
・外科治療
・装具療法
・リハビリテーション
以前は徐々に進行していく病気であったが、
近年は新しい薬により進行を止める、または治癒が期待されるまでになっている。
具体的には
手関節の変形(スワンネック変形、Z変形)、屈曲、
足関節の変形(歩き方が内股気味で小股になる方多い)
足に症状が現れて病院に行くことが多いがそれより先に手にも症状が現れていることが多い。
その他の関節
診察をどの科で見るかが問題になることがある。
(リウマチ科もある)
作業療法士のところに来たときには症状がひどくなってしまってからの場合が多い。
早期診断・早期治療が有効
リハビリテーションの方針としては
・関節保護とエネルギー保存
・痛みへの配慮
・休息と仕事のバランス
※疲労してしてしまわないこと
いろいろな自助具を利用
・杖を使う場合も手首の負担が少ないもの、前腕で支えるタイプ
・手すりを利用する場合も手で握るよりも高い位置で前腕で支えながら移動できるようなもののほうが関節に負担をかけない。
・椅子への立ち座りやベッドの起き上がりを補助するもの
関節リウマチの場合の自助具はできない機能を補うというより、手先などの細かい関節の負担を減らし使用を温存するためのものであることが多い。
重いものを持たないなど注意も必要。
調理やフタ一つをあける動作一つでも日常生活動作について十分に指導を受けることが重要。
心理的な面では
・周りにわかってもらえない痛みにより消極的、内向的に
・変形による不自由さや外観の変化による閉じこもり
・緩解ち増悪を繰り返し進行することからうつ的傾向
・若い発症により夫婦や親子関係に亀裂
こういったことにも配慮が必要
住居改善としては
・関節に負担をかけないよう前腕で支えられる手すり
・段差解消
また症状の進行についても確認しながら改修をすすめる必要がある。
実際に持ってきてもらった自助具を試してみたり、
日本食の固形物を一口で含みやすいように考えられたスプーンなどでも、思った以上に軽く作られているのですがそれでも重いという話を聞き、住宅改修でも想像以上のヒアリングと配慮が必要だと感じます。
しかしそれらがすべて建築的に解決できるとは考え難いので、治療の状況やリハビリの方針などを専門職の方に聞きながら考えていくことの重要性を感じます。
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