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2018-08-17

耐震改修の必要性~大阪北部地震の応急危険度判定から~

調査に訪れた住宅でもブロック塀が崩れていた
2018年6月18日に大阪北部地震が起こりました。突然の強い揺れ、さらに激しく揺れるかと身構えたのですが、比較的短時間の揺れで治まりました。上町台地にある自宅は震度4程度で、家の中は少し物が倒れた程度でしたが、仕事場のエレベーターがその日は止まっていたり、各所で被害が見られました。交通網が麻痺していたのもあり、子供の保育所は休み、仕事の予定もキャンセルという状態でした。
地震の翌週に建築士会を通して応急危険度判定の依頼を受け、被害の多かった茨木市に2日間応急危険度判定に行ってきました。2日間で20軒弱の住宅の判定を行いましたが、危険と判定した住宅も5軒程ありました。見て回った範囲では揺れによって外壁にクラックができている、瓦、特に棟瓦がずれたり落ちたりしているという被害多いようでした。液状化など地盤に関わる被害というものはありませんでした。
窓下の外壁が剥落した状態
被害の傾向としては瓦葺き、湿式の外壁の被害が多かったですが、それらは新耐震以前に建ったと思われるものばかりでした。また周囲の建物は外観上被害がないのにその家だけが被害を受けているという例もいくつかありました。周囲も被害を受けている状況ではお互い様で気をつけようとなりますが、ある家だけ被害が大きいとその家が倒れてくるのが怖い、前を通っていて落下物がないか心配という近隣の方が多かったようです。応急危険度判定は市に判定依頼が来て派遣されるのですが、回ったうち2軒は空き家で近隣の人が連絡して見てほしいというものでした。
住宅の耐震化が進むと耐震化していない家、管理されていない家は周囲に迷惑をかけるかもしれない家という認識が進んでいるように感じました。「大きな地震が来たときには、自分はもういい」という考え方では済まさないということです。
もう一つ実際の被害を見て思ったのは、軽い外壁のクラックなどの被害が生じているものをどう考えるかです。命を守るということが第一ですが、補修するのに数十万から100万円以上かかると思うとそれも大変なことです。新築はもちろん改修の場合でも偏りなく固くする、また、ある程度揺れに追従できる仕上げ、納まり、補修しやすさなどについても考えさせられました。
南海トラフ地震が30年以内に起こる確率が70〜80%と言われる今日、旧耐震基準のままの住宅はやはり耐震改修をしておく必要があります。そして耐震改修するのであれば温熱改修、バリアフリー化、将来を見越した改修を検討することをおすすめします。

(参照リンク)高齢期を見据えて耐震、断熱、バリアフリー改修を行った事例
百舌鳥の家

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