発注者による挨拶の様子
以前に地盤調査を行った物件の打ち合わせを2週間に1度程度行いながら実施設計をまとめ、7月3日に川西市文化会館にて工事の発注説明会を行いました。今回は当初から分離発注を行うことが前提のプロジェクトでした。
分離発注とは建設会社、工務店、ハウスメーカーといった会社が一括請負で施工するのに対して、通常それらの下請けで仕事をする業者に直接発注する建設方式です。
メリットとしては、直接発注することで価格に透明性が出ることと、直接発注するので自分の建てる家をよくわかることです。
デメリットとしては、手間がかかる、業者間での連絡不足などでスケジュールや現場管理がうまくいかなかったり、責任の所在が明確でなくなること、実際に出来るまで価格が確定しないなどが挙げられます。
これらのデメリットを克服するためにはCMr(コンストラクションマネージャー)としての技量が必要となり、また発注説明会でも参加業者の方にはじめから元請意識を求めたり、JV(ジョイントベンチャー、共同企業体)として瑕疵保証の加入を義務づけたりしています。
今回は住宅ローンの関係で工期が決まっており、分離しすぎることで工期が長くなっては困るのであまり多くの分離は行わないことにしましたが、それでも当日は20人近くの業者の方に来ていただき、そこで見積り方法の説明と図面の内容について説明を行いました。
初めに発注者(=建築主)より挨拶をいただきましたが、自分の職場のことを交えながら、中身をしっかりわかって自分たちの家を建てたいという気持ちが伝わってくる、とてもよいお話をしていただきました。
これから質疑回答を行い2週間後に見積りが上がって来ますが、業者の見極めと原油高による物価上昇の影響を、どのように調整するかが次の課題です。
発注説明会
地盤調査-スウェーデン式サウンディング
川西での地盤調査の様子(機械式)
兵庫県川西市にて建設予定の木造2階建住宅の計画の為に地盤調査を行ったので地盤調査について書いてみます。
地盤調査は基礎の形式や地盤改良、杭の必要性を決定するために行います。
地盤調査を行わずに設計してしまうと、不同沈下(地盤の一部が沈むこと)、建物の傾き、外壁のひび割れなどの原因となる可能性があります。
木造住宅を建てる場合でも平成12年の改正建築基準法で、地盤の強度に応じた基礎の形式を規定しているため実質的に調査が義務となっています。
木造住宅の地盤調査にはスウェーデン式サウンディング試験が多く用いられます。これは調査費用がローコストである、既存家屋があるところでも庭先などで調査できる、小規模な建物で重要となる基礎直下のデータを判読しやすい、などの理由が挙げれられます。
戸建住宅で平面形状が四角形の場合は建物の各隅と中心の計5ヶ所の調査を行うことが一般的です。
方法はロッドという鉄の棒を調査地点に垂直に立てて、徐々に荷重をかけて約102kg(1000ニュートン)まで加えます。この途中でロッドが沈んでいく状態を「自沈」と言います。そして沈んでいかない場合は1000Nの荷重をかけたままロッドを回転させて地中へ貫入させていきます。
スウェーデン式サウンディング試験では25cm毎に地質を評価します。自沈の場合は25cm沈むのにかけた荷重を記録します。沈まない場合は25cm沈むのにどれだけ回転させたか(半回転を1Na)を記録します。地上から7、8mくらいまで測定することが多いのですが、しっかりした地盤(支持層)が確認されるとそこで調査は終了します。またスウェーデン式サウンディング試験では少し大きな石に当たると貫入できなくなってしまうのでポイントを少しずらして再測定したり土地の状況に応じた方法をとるようです。
このような現地調査の後に地盤の支持力を算出します。その時には地盤が砂質土か粘性土かによって算定式が異なりますが、スウェーデン式サウンディング試験では土を採取できないので、貫入するときの音で調査員が判断したり、周辺のボーリングデータを参考にして決定します。
これらの調査は地質調査の業者が行い、それを瑕疵保証の会社が解析し、基礎の形式や地盤改良の方法について「このようにしてくれれば保証する」ということになります。
基礎直下から2mまでの深さに自沈層がある場合は、ほぼ何らかの地盤改良が必要になってきます。
今回の計画地では地表から2m前後の位置に固い支持層がありましたが1m程の所に自沈層を含んでいました。
これらを瑕疵保証会社に解析以来したところ部分的に土の置換え工事を行い、基礎形式はベタ基礎とすることになりました。
置換え工事は表層改良などよりは簡易な工事です。また地盤改良については現場進捗とともに書きたいと思います。
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